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「探す」から「聞く」へ。AI時代、企業サイトの役割はどう変わるのか
ChatGPT、Claude、Gemini。
私たちが日常的に使う代表的な生成AIには、技術や得意分野に違いがあります。しかし、ユーザー体験という視点で見ると、非常にわかりやすい共通点があります。
どれも、まず「入力欄」から始まることです。
ユーザーはメニューの場所を覚える必要もなければ、複雑な操作方法を学ぶ必要もありません。知りたいことや、やりたいことを、そのまま言葉で入力します。するとAIが意図を理解し、必要な情報を返してくれます。
なぜ「会話する」が、AIの代表的なインターフェースなのか
理由の一つは、とてもシンプルです。人は本来、複雑な情報について、「その情報がどこに置かれているか」を覚えたいわけではないからです。
ユーザーが本当にしたいのは、自分の質問を伝えて、答えを得ることです。
従来のWebサイトは「情報を探す」ために設計されてきた
ここで、企業サイトについて考えてみます。
これまでのWebサイトは、基本的に「情報を整理し、ユーザー自身に探してもらう」という考え方で設計されてきました。典型的な流れは、次のようなものです。
- Home
- Navigation
- Category
- Page
- Information
ユーザーはトップページに入り、ナビゲーションを見て、カテゴリを選び、目的のページを探し、その中から必要な情報を読み取ります。そのため企業は長年、さまざまな部分を改善してきました。
- Navigation
- Sitemap
- Search
- FAQ
- UX
- Page hierarchy
もちろん、これらは今でも重要です。情報が整理されていなければ、ユーザーは迷います。ページ構成がわかりにくければ、離脱も増えます。FAQが整理されていれば、問い合わせ対応の負担を減らすこともできます。
ただし、これらの改善には共通する前提があります。それは、どうすればユーザーが必要な情報を見つけやすくなるかという考え方です。
つまり、Webサイト側が情報を整理し、ユーザー側がそれを「探す」という役割分担です。
AIが変え始めているのは「探し方」そのもの
ところが、生成AIの普及によって、この前提自体が少しずつ変わり始めています。
ChatGPTを使うとき、多くの人はこう考えません。
- 「この質問は、どのカテゴリに入っているだろう」
- 「この機能は、どのメニューの中にあるだろう」
- 「FAQのどのページを読めば答えが見つかるだろう」
代わりに、ただ質問します。
- このサービスは中小企業にも向いていますか?
- 導入にはいくらかかりますか?
- WordPressでも使えますか?
- 他社サービスとの違いは何ですか?
- 自社のケースではどのプランが合いますか?
つまり、AIによって私たちは徐々に、「情報を探す」よりも「質問する」という行動に慣れ始めています。
ここに、企業サイトにとって大きな変化があります。
今までのWebサイトでは、Where is the information? が重要でした。これからのWebサイトでは、より重要になるのは What do you want to know? かもしれません。
日本語で言えば、「情報はどこにあるのか」から、「何を知りたいのか」へ。という変化です。
ユーザーは本当に5ページも探したいのか
たとえば、ある企業サイトを訪れたユーザーが、次のようなことを知りたいとします。
- 自社の規模でも使えるのか
- 導入費用はいくらか
- 導入までどれくらいかかるのか
- 既存システムと連携できるのか
- サポートはあるのか
- 他社サービスと何が違うのか
従来型のWebサイトでは、これらの答えが複数の場所に分かれていることがあります。
- 製品ページ
- 料金ページ
- 導入事例
- FAQ
- サポート
- お問い合わせ
ユーザーは必要な情報を、自分でつなぎ合わせなければなりません。
もちろん、情報設計が優れたサイトなら、それでも問題なく利用できます。しかし、一度「AIに直接聞けば答えが返ってくる」という体験に慣れたユーザーにとっては、なぜ企業サイトでは、自分で何ページも探さなければならないのかという違和感が、今後少しずつ大きくなっていく可能性があります。
ナビゲーションが不要になるわけではない
ここで誤解してはいけない点があります。AI時代になったからといって、ナビゲーションやページ、検索機能が不要になるわけではありません。
Webサイトには、一覧性があります。自分で比較したい人もいます。サイト全体を眺めながら情報を理解したい人もいます。会社のブランドや世界観を見たい人もいます。また、すべてのユーザーが会話型UIを好むわけでもありません。
そのため、これからの企業サイトは、「従来のWebサイトをチャットに置き換える」というよりも、従来のWebサイトに、新しい情報アクセス方法が加わると考えるほうが自然です。
イメージとしては、次のような形です。
- Navigation
- Search
- Content
- + Conversation
ナビゲーションも残る。検索も残る。ページコンテンツも残る。そこに Conversation という新しいレイヤーが追加される。
つまり、会話がWebサイトの新しい information access layer になるという考え方です。
「ページを見る」以外の選択肢を、Webサイトに持たせる
これまで企業サイトは、情報を掲載する場所として発展してきました。これからは、それに加えて、情報について質問できる場所になっていく可能性があります。
例えばユーザーが、「このサービスは50人規模の会社でも使えますか?」と質問したときに、Webサイト内の製品情報、料金、FAQ、導入事例などをもとに、その場で回答できる。さらに、「では、うちの場合はどのプランが合いますか?」と続けて質問できる。
こうなると、ユーザーはサイト構造そのものを理解しなくても、必要な情報にたどり着けます。
これは、単に「チャットボットを置く」という話ではありません。Webサイトにある情報へのアクセス方法そのものを増やすという話です。
「情報を置くWebサイト」から「質問に答えるWebサイト」へ
検索エンジンは、私たちがWebサイトを見つける方法を変えました。そして今、AIはWebサイトを使う方法を変え始めています。
これまでのWebサイトは、情報を整理し、ユーザーに見つけてもらうことが中心でした。これからは、それに加えて、ユーザーの質問に、その場で答えるという役割も重要になっていくでしょう。
すべてのWebサイトがすぐに会話型になる必要はありません。しかし、ChatGPT、Claude、Geminiを通じて、「探すより、聞くほうが早い」という感覚に慣れる人が増えていることは、企業サイトにとって無視できない変化です。
これから企業が考えるべきなのは、「チャットボットを導入するべきか」だけではないのかもしれません。
もっと本質的な問いは、次の点ではないでしょうか。
ユーザーがすでに「直接聞く」ことに慣れ始めている中で、企業サイトはいつまで「自分で探してください」という体験のままでよいのか。
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